感想

くらげなす漂うアメリカンアパレル

倫を抱きしめ、須賀たそにボラギノールを渡し、由美に抱かれたいー『女坂』円地文子著

 

 

女坂 (新潮文庫)

女坂 (新潮文庫)

 

 

こんにちは、三日坊主にならなかった奇跡のブログ更新りょうごくらむだです。

わがしchannelにコメントしたいあまり、ついにGoogleのアカウントを追加取得してうきうきわくわくしています。

今日は円地文子の『女坂』を紹介していきますです。たいていの近代文学作品ってそうなんですが、この作品、なにも知らんで読むと現代感覚ではいろいろ勘違いが発生しがちです。またアマゾンとか読書メーターでレビューを読むとさらに勘違いがすすむという恐ろしい循環もあるとかないとか。というわけで、私もいっちょ『女坂』未読読者の方々にいろいろ勘違いさせてしまいそうな読書時メモを最初にさらしておきますです。好きな漫画家は漫☆画太郎矢沢あい久保保久椎名うみです。ODAもTOGASHIも愛してるよ。ふみふみこ山本直樹も(←本棚にある漫画を確認しにいった結果おもいだしたなまえ)。れっつごー。

ひらがな多用に不思議チャン要素を感じて引いているそこのあなた…! いるかな?

 

 

f:id:ryogokulamuda:20190223093723p:plain

『女坂』本物のファンは見向きもしないであろうイメージ図

 

明治時代の初期(1884年頃)を舞台にしているので誤解されやすいが、『女坂』は昭和期に書かれた作品だ。1957年(昭和32年)、平成の天皇陛下がこのころ23歳なので、最近っちゃ最近の作品である。

 

キャラクター/登場人物

倫(とも)…本妻。夫に頼まれて妾を探しにいく地方住みの奥さん。すんげぇ我慢強い。15歳で長男・道雄を産んだ。

白川行友…倫の夫、福島の官吏(偉い役人)。すんげぇ女好き。

須賀…倫が最初に連れてきた、当初15歳の妾。めっちゃ美少女だけど、内面はすんげぇ暗い。何事もつきつめて考えたり、悩んだりしてしまうタイプ。

由美…2人目の妾。背が高くて中性的なさわやか美人。朗らかで明るく、嫌なことが会っても寝たら忘れるタイプ。

 

悦子…白川家の長女。父親似。

道雄…白川家の長男。こども時代を叔父夫婦に預けられて育つ。実母の倫をドン引きさせるほど捻くれていて可愛げのない人間(ひど)。油田がすき。

美夜…道雄の後妻。人たらし。やがて道雄or行友とのあいだに8人こどもを産んで死ぬ

巴(藤江)…道雄の3人目の妻。中

鷹夫…道雄の長男。みんなに可愛がられている。

璃子鷹夫の妹(美夜と道雄or行友の娘)

せき(や)…白川家のガチ小間使い。牧にとっては白川家の最古参

牧…鷹夫の乳母。離婚経験あり

 

きん…離婚して娘とふたりで浅草に住んでいる

とし…きんの娘。占い師の才能がある魔女っ娘(いよいよアンサイクロペディアの様相を呈してきた私のブログ…)

 

※行友が「妾というといやに表立つが、お前にも小間使だ」と言っているように、須賀ちゃん由美ちゃんは倫のお手伝いさんでもある。

 

ストーリー/あらすじ

地方官吏(金持ち公務員)の白川行友に大金を渡され「東京にいって、妾を探してきてくれ」と頼まれた妻の倫さん。美少女の須賀ちゃん(15歳)を家に連れて帰ることにする。須賀ちゃんの家は金銭的ピンチだったので、娘を売ることにしたわけであるが、芸者よりマシだし向いてるだろうということで妾に出すことにしたのであった。だがもちろん娘が大事な須賀ママ。「行友さんって次々と妾作ったりせえへんよな!? いずれ新しい妾ができて娘が捨てられるってことはないよな!? 倫さん、うちの娘のことまじ頼みます…><。」と涙ながらに懇願する。倫だってオカン。娘を持つ母の気持ちはわかる。だが、倫自身も「行友のやつ、妾に入れ込むあまり本妻の私を見捨てるんちゃうか!?」と不安だったのだ。そんなこんなで家にきた須賀ちゃんだったが、見た目は美人だけども中身は陰気ということもあり、行友にとってはたんなる性的処理相手にしかならなかったようだ。そしてある日、妾NO,2がやってくる。超絶性格美人のお由美さんである。身長170cmのスレンダー体系(推定)で、同性にもむちゃくちゃモテそうなお由美さん。行友(おっさん)と嫌々セックスしたという共通点もでき、須賀ちゃんともすっかり仲良しになった。

10~20年後、長男の道雄が結婚したが、妻はこどもを生んだあとすぐ産褥熱で死んでしまう。そのあとまたすぐ2番目のお嫁さんを迎えた。その相手が美夜だった。美夜はけして美女ではないが、人好きするタイプの女で、愛嬌たっぷり。倫までもキュンキュンさせるほどの愛想のよさ……。だが美夜はとてつもなくエロい女だった(褒めてる)ので、義父にあたる行友のハートを打ち抜いてしまう。

行友と美夜の不倫関係に気づいた倫は内心ぶちぎれる。須賀ちゃん由美ちゃんはといえば、「美夜さんは天性の花魁だからねー。しゃあなし」と諦めムードだ。

そんななか、妾NO2だった由美がお嫁にいくことになり、お妾ツインズは涙の解散をする。お嫁入した先で由美はすぐ身ごもり、かわいいこどもを産んでさながらハッピーエンドであった。

さらに10数年後、8人も子供を産んだ末に美夜は亡くなる。倫は道雄の3人目の嫁に色気のないまじめな中年女性の巴を選ぶ。夫と美夜の不倫関係がトラウマレベルで気持ち悪いものだったため、倫は鷹夫と瑠璃子の近親相姦めいた関係にもいちはやく気づくなど常にモヤついている。陰気な須賀ちゃんも年を取り、病気になってしまった。

死の間際、須賀ちゃんを探しにいくときに夫からもらったお金を、夫に返す。これまでずっと、何かあったときのためにとお金をとっておいたのだぞというのを明かすのである。さらにある手段をつかって行友に呪いをかける。さて行友はどうなるのだろうか…?(とうとつなネタバレ忌避)

 

『女坂』感想

倫をはじめとする女たちの苦悩を描いた作品なのだと思うんだけど、第三章で倫がもう白川家の支配人みたいになっているのね。そこでもう私の心の声、「支配人になれたんだし、人生の50%くらいは成功してない!?」なのだよね。うーん。なんか大奥とかと同じで、立場争いのようなものが主眼に置かれているような面もあってね、そうした「覇権モノ」なのだとすれば、倫はある意味で社長サンみたいなものだから、その面で成功者といえる気がするの。だけどこの小説、さまざまな他作品(お岩さん、イダイケ婦人、エディプス神話など)が差し挟まれていて、ほうぼうから物語の核心について囁き教えてくれるタイプの作品かもしれなくてね。そう考えると、倫はお岩さんみたいに夫に対して呪詛呪詛していたのかもしれないの…。

これ100%個人的主観的感想なんだけど、これだけの登場人物がいて実家とも便りのやりとりがあって女の子もこどももいっぱいいっぱいいて食うに困らなくて、そんで夫を恨むのはなんだか欲張りというか、ちょと、もっと他に楽しみを見出せなかったのかなって思うの。倫はどうなっていたら幸せだったのかしら? と思うの。

解説には封建制度の犠牲になった女たち云々って書いてあったんだけど、むしろ現代側からみると、さびしくなくてええやんって思っちゃう面もあってね。親の都合で芸者やら妾やらに身売りしなきゃいけないのは最悪だよ、もつろん。だけど倫にかぎっていえば、引退時までイイ感じに地方官吏をやっていた金持ち夫の妻だったのだから、もっとおもろいことを見つければよかったのに…! って、ついつい思ってしまうの。

 

倫は鼠色の肩掛に衿首をぴったり蔽い、氷のように冷え果てた手に重い雨傘をかざして雪の降る往来に立ち悩んでいる只一人の自分に意味のない絶望を感じた。何十年の間行友という手に負えぬ夫に生活の鍵を預けたまま、その制限の範囲一ぱいに自分の力で苦しみ、努め、かち得て来たあらゆるもの……それは一言に言えば、家という名で統一される非情な固い取りつき端のない壁に囲まれた世界であった。その世界を自分は確かに足を踏みこたえてはっきり生きて来た。そのことに自分の生きた力のすべてを籠められたようなものだったけれど、それほどにあらゆる精力と知恵を費やしつくして来た言わば人工的な生き方の空しさを倫はふと淋しい片側町の家の灯の中に見たのだった。(『女坂』円地文子新潮文庫より)

 

いやいやっ! 空しくないよ! 倫! がんばったよ! すごいよ! うううう(;;)

なんかさ、倫がうちのおばあちゃんと重なるねん…。おばあちゃん、強くて矜持のある女なんだけど、おじいちゃんのことめたくそ恨んでるから……。

……(笑)まじでおじいちゃんのこと睨む顔が鬼なの。。

 

 (けっきょくAmazonでぽちったんやけど、最初は古本屋にいったんよ。うろおぼえ馬鹿の私、「あの、女なんとかありますか? まる…丸山円…なんとかさんの。てへっ(ブリッコ)」ときいたんよ。したら古本屋の店主、「円地文子の女坂ですね」とすぐ了承して2階の書庫へ駆けあがっていってめっちゃかっこよかった。小太りのふわふわ薄い髪だけど、惚れたわ)