『推し、燃ゆ』宇佐美りん著(河出書房)
宇佐美りんが芥川賞受賞!ぴえ~い。
(いやぁ、のりしろさんとダブル受賞や思ってたんだけどな。)
宇佐美りんさんは、ここさいきん(第56回か57回の)の「文藝」で遠野遥さんとダブル新人賞受賞されたかたでした。
これで二人とも芥川賞受賞作家! くぅー、めでたいねぇ。
もともとデビュー作の『かか』が大好きだったわたくし。
宇佐美りんさん推してましてね。宇佐美りんさんのワードチョイスとか、汚い物きれいにするの好きな感じとかが好きやって。中上健次と、たしか夏目漱石もお好きなんよね、このかた。クラシックラブなのよね。古風で一流ラブ。学び。まだ20代前半に突入したばかりの子なのになんてすばらしいんだろう。ふくれなくらいすばらしい(ふくれな頑張れ)。
で、もともとこちらの『推し、燃ゆ』についてはAmazonレビューの星がきらきらしてたもんで、きっと受賞すんねやろなぁと思っていました。
で、読みました。
感想
まず、期待しすぎたという、どうしようもない一言を言っておきます。
読み始めると、もうなんか純粋には読めなかった。
現実のアイドルグループの混ざり具合とか、SNSの一部を上手にきりとっている感じとか、すごく上手なんだけど、その上手さをいちいちこう、感じちゃうというか。おいぼれだからわたし。
そういう部分ばかりが、目立つように見えちゃうのは、あきらかに、読者がおいぼれだからだとは、おもうのよね。
居酒屋でバイトしているシーンとかの、あのしんどさとかは、「描写上手い」とかいう感想に至るよりまえに、実感を伴って感じさせてくるので、そこはとてもよかった。でもつらすぎた。悲しかった。やめてくれとおもった。世界ぶち壊したいとおもったよ。
そして最後の、マンションにいって洗濯物という物質とクリアファイルとの対比は、なんだか残酷すぎて、あまりに虚無で、白くて、大丈夫かな!?って思った。現実のドルオタの人とかにたいしてね。
!あとさ、推しくん、8月15日が誕生日で、天皇説あるやん。
まあ、「推しが人間になった」ってなことを二回くらい言わせてるわけやから、
これはあれよね、三島由紀夫『英霊の聲』とかの、「などてすめろぎはひととなりたまひし~」だよね。
でもまだ軽い軽い現人神、わたしみたいなおいぼれにとっては軽い軽い現代のあらひとがみちゃんでした。
そして、お姉ちゃん、ラブ。お姉ちゃん推しでし。
親父がおっさん構文の使い手だったとかいうのは、吹いたよ。
なんか、言いたくないのだが、この女の子の語りのかんじ、むちゃくちゃ綿矢りさなんだよね。ぞっとするくらいに。いや、こんなこと言いたくないよ、わたしだって。でも、なんかもうすべてが(本の紙質とかもふくめ)綿矢りさ想起させるから、
なんなら出版社にオラオラ気分、なったよね。
宇佐美りんは、違うよって。こっちじゃないよって感じがした。
もっとごり硬派で売ってくれとおもった。なんか。。うむ。
まあ、そのまま、日本文芸の神になってね。うさみりんりんちゃん!!
ここからはおまけなんだけど
推しがいるひとにとって、『推し、燃ゆ』の真幸くん、つまり推しくんのかおは、現実の推しで再生されたりするんちゃうかなと思う。
わたしのばあい、伊野尾慧だったよ。
いや、やめてくれ。
もう、ちゃんと冷めてるから。
でもちょっと前まで、大好きやってん。
それでブログにも、ラブをつづってん。
そのとき書いたやつは、恥ずかしくて下書きにしてた。
でもいまもう冷めてるから余裕。なので最後にさらしておこーっと。
あ、あれだよ、わたしの大好きラブな春ねむりさんの「ピンクユニコーン」だよ。
ってかもう文春でているじゃまいか。先生方の書評が読めるよ。これで、なんで芥川賞受賞できたかわかるからね↓↓
赤パーカー正義/伊野尾慧はピンクのユニコーン。きみを神様にしないよ
ひさしぶりに恋の話でもするか。
わたしがYouTubeでhoneyBeeを見たのは2020年11月5日のことでした。
女王蜂のツイッターを見ていたところ、アヴちゃんがプロデュースしたという「謎のボーイズグループ」が載っていたんですよね。
そのころはまだヘイセイジャンプの人たちだということは秘密にされていて、一部のファンが気づいている感じでした。YouTubeの「狼青年」コメント欄には、そのことをにおわせるコメントがたくさんついていました。
「あの有名なグループだったとは。」「彼らのファンのものです!やっと報われたね☆」みたいな感じです。
わたしはにおわせに弱いので、誰だ誰だ誰だと探しまくりました。
すぐにヘイセイジャンプっぽいということは判明しました。
(正式にはhey!say!jumpですね。。℃-uteといい、わたしの好きになるグループってパソコンで打つのが時間かかる…。)
ヘイセイジャンプ…よく知らないなぁ…と思いました。でも、八乙女光さんだけは知ってました。金八先生に出てたからです。たしか覚せい剤系だったので、衝撃もあって、よく覚えてました。そして知念さんも、スクール革命に出ていたのでたまに見ていました。春日が「知念君」って呼んでるところが脳裏にうっすら貼りついてました。でも、わたしはこのとき、八乙女光さんと知念さんが同じグループだということも知らなかったのです。山田涼介さんとキングダムの政役の人の区別もついていなかった…。
(あのころは よかった)
ヘイセイジャンプをWikipediaで調べたところ、伊野尾慧さんもまた、グループの一員であるということがわかりました。驚きました。伊野尾慧さんといえば、「そして誰もいなくなった」だったか、藤原竜也さんのドラマに出ていたんですよね。バーテンダー役で、ふわふわ不思議くん系の役どころだったような気がします。それはよく見ていました。たぶん最後まで見たんだと思います。
そして「ピーチガール」のカイリ役でもあったのです。「ピーチガール」は昔全巻揃えてましたので、実写化するんや~とのんきに思っていました。映画は見ていなかったものの、伊野尾さんという子、かわいいしカイリにぴったりだなぁと思っていたような記憶があります。他には、伊野尾さんという子は篠田麻里子に似てるな~とか、それくらいの感じでした。
honeybeeのMVではパーカーのフードで顔が隠されているため、だれがだれだかわかりませんでした。
まさに「狼青年」の歌詞の世界観のごとし。とりかえばやって感じです。
秘密を暴くのが大好きなわたしは、目をこらして、ヘイセイジャンプの写真と見比べて、だれがだれだか当てたい的な一人遊びに興じるようになっていました。
まあ……、もともとよく知らないため、ぜんぜんわかりませんでした。
でもYouTubeという海には海賊たちがいるんです。海賊たちは、ヘイセイジャンプのイメージカラー(ファンには周知のものらしい)を当てはめて誰がどのパートを歌っているかがわかるようになっている動画を上げてくださっていました(違法?)
わたしはそれを聴き、どのパートを誰が歌っているか、だれが踊っているのか当てはめて楽しむという謎の一人遊びに興じていました。
そんなふうに無邪気に……遊んでいたはずなのですが…
はっきりとはごめんなさい、覚えていません。
あのとき……何らかの…
めざましテレビ公式チャンネルのイノ調か何かか…(公式であれ)
何らかの伊野尾慧を浴びたのだと思います。
そして、わたしの11月は伊野尾になったのです。伊野尾慧祭り、いえ祀りに。
わたしは恋のせいで吐き気を覚えました。
消えたくなりました。
なにこの現実? ってなりました。
向いてないんです。ファンというものに。
わたしは誰かを神様にすることに吐き気を覚えるタイプなんですよ。
サルトルの嘔吐は実存にきもちわるぅとなっていましたが、伊野尾慧は実存じゃなく、実在するけれど同時に実在しないもの。
偶像だけど偶像じゃないもの。
宮木あや子さんの「婚外恋愛に近いもの」みたいな題名の本を読んだことないけど、読んでみたいような、いややっぱ読みたくないような、不快な気持ちでいっぱいになりました。
恋。
恋なのに不快。
はあ。
ピンタレストのアプリで無限にあふれる伊野尾慧。
YouTubeの海賊たちにまとめられてる伊野尾慧。
朝の情報番組の伊野尾慧。
明日香きららや宇垣美里やmiwaに紐づけられる伊野尾慧。
猫のようなふざけた恰好をしている伊野尾慧。
いつも何者かになろうとしている伊野尾慧。
気づけばわたしは号泣していました。
わたしのひねり揚げみたいな根性では、たぶん80歳すぎないと、伊野尾慧さんにファンですとか言えない。
看護師の守護聖人である聖カタリナは、15歳ですでにキリストの大ファンでした。彼女はすべてをキリストに見立てました。同じく聖人とされているジャンヌ・ダルクも、当たり前にキリストラバーでした。アイドルのファンをするっていうのは、そういうことなのだと思います。そこには現実の恋愛を越えた法悦があるのだと思います。
でもわたしにはそれは無理。神に関して、わたしってほんと不可知論者。
どこまでも彼は、見えざるピンクのユニコーン(それは無神論者)
あなたたちの好きな人は見えざるピンクのユニコーン
それなのに、ピンタレストをひらけば伊野尾慧は無限にあふれでてくる。ぽぽろとかみょうじょうとか、昔ながらのアイドル雑誌まである。駄菓子屋にはアイドルの写真がもらえるよくわからないあれなに?駄菓子じゃないやん的なおみくじが売っている。
なにこれ?
嘔吐やん。サルトルの。どこまで走っても、逃げられなさそうやん。
みんなどうやって生きてるの? こんなふうにファン的なるものになって
でも普通のことか
・・・・・・
誰にも言いたくない・・・・・
アヴちゃんのことを好きだったころくらい言いたくない
いやそれ以上に言いたくない
・・・・・
きっと同じような気持ちに陥っている紳士淑女の方々がおおぜいいらっしゃることでしょう。これを読んでいるあなたも伊野尾慧が大好きだったりするのでしょう。
そう思うとわたしのこぶしから中指が剥きだされてゆきます。
いつかこの恋の時間帯を、「まあ面白い時期でしたね♪」くらいに捉えられる日がくることを祈っています。
すべての恋が終わって世界が滅びて……甘いチョコレートだけが降り注ぐことを祈っています。
あといつも言ってるけどパーカーって罪レベルで正義っていう大変なものですね。
別にきみを求めてないけど見てるだけできゅんきゅんしてしまうきみのかわゆいフードの大きなパーカーのせいだよ。
赤パーカー、黒パーカー、灰色パーカー
このみっつは、YABAIよ。
好きな人がいるみなさんはパーカーを着用しましょうね。いちころですよ。
たとえるなら、童貞を殺す服みたいなものですよ、パーカーは。
はあ…
なんかわたしさいていなこと言ってるな…
いつかこのブログは消すと思います…
上げるかどうかも迷っている…
でもブログあるあるですが…好きなものと嫌いなものを書くとき出来がよくなりがちなんですよね…能町みね子さんもそんなようなこと言ってたよねたしか…
好きなものと嫌いなものがめちゃMIXで愛してる.COMな感じで
え? なんかすごい犯罪者っぽいなわたし…かなり気持ち悪くないですか?