感想

くらげなす漂うアメリカンアパレル

三木三奈『アキちゃん』

ご無沙汰しております、りょうごくらむだです。

本日は三木三奈さんのデビュー作『アキちゃん』を読んでいきませう。

こちら、デビュー一発目でいきなり!芥川賞にノミネートされております。

それくらい面白い作品ちゅうことです。

 

文學界 (2020年5月号)

文學界 (2020年5月号)

  • 発売日: 2020/04/07
  • メディア: 雑誌
 

 新人賞受賞時の選評も読めるよ↑

 

ちなみに今回2020年7月15日発表の芥川賞にノミネートされているのは

・三木三奈『アキちゃん』→デビュー作!

・石原燃『赤い砂を蹴る』→劇作家出身、太宰治さんと関係あり

岡本学『アウア・エイジ』→架空列車の人!うわぁぁ!すごい

高山羽根子首里の馬』→カムギャザー!

・遠野遥『破局』→改良の人!宇佐見りんさんと同時受賞してらっしゃった。

の、五作です。

 

では『アキちゃん』を見てみよー。

 

あらすじ

小学生のころ、主人公には「アキちゃん」と呼ばれる大嫌いな友達がいた。主人公は「アキちゃん」からひどい扱いを受けていた。呪ってやりたかったし、じっさい、呪いまがいのことをしようとした。だがそんな「アキちゃん」が自分を好きなんじゃないかという期待と不安が頭をもたげる。主人公はある取引をもちかけ、「アキちゃん」から好きな人の名前を訊き出そうとする。

やがて主人公は転校することになり、「アキちゃん」との悪縁は切れた。

およそ十年後、大学生になってから「アキちゃん」のその後のてんまつを少しだけ知ることになる主人公は、なんともふくざつな思いを抱くのだった。

 

『アキちゃん』のめっちゃ素晴らしきポイント

1、読者の見たことのない感情、だけれど、覚えのある感情を書くのがうまい

→既視感あるけどまだ言葉になってなかったような情景があり、キュンキュン。

2、ポップンだけど軽すぎない。外はぷるぷる、中はもっちりな文章

→めちゃくちゃ読みやすい。最初のころの綿矢りさとか、野ブタをプロデュースとか、けちゃっぷ、とかを思い出した。いっきに読める。楽しい! こういう本が増えれば若いひとや子供たち(13歳~18歳)も本好きになっていくし、小説家志望も増えると思う。よき!!

3、ワードセンスがもう凄いとしかいえない

ペンネームであろう「三木三奈」という名前しかり、タイトルしかり…、みなさんお気づきと思うが、ワードセンスがすごい。とにかくキャッチーで、でも薄っぺらくないキャッチーさ。プロやで~。

 

『アキちゃん』の個人的にちょっと好きじゃないポイント

1、プロが書いた、ちょっとした作品、みたいな感じになってしまってるところがある。内容すばらしいんだけど、う~ん、もう少し書いてほしかった。面白過ぎて、先が読みたいから、そう思ったのかも。

2、途中でセクシャリティを明かす的な方法がちょっと好きじゃなかった。

『ここは退屈迎えにきて』とかでもそういう手法を使ってたことがあったような気がする(セクシャリティが意図的に隠されており、後で判明的なこと)。あのときの「んぎっ!?白目」ってなった気持ちを思い出した。同じくデビュー作で芥川賞にノミネート(受賞)された『影裏』も登場人物(主人公)セクマイだったことがだんだん判然としていくのだったと思うけど、あの隠し方(隠してない)とは違う感じがした。

3、アキちゃんは、のちに適合手術を受けたのかどうかも作中では明かされておらず、「男性的な本名を呼ばせなかったこと」「好きな人が男性だったこと」のみで、主人公はアキちゃんがトランスだと決めてかかっている。

さらに、選評者たちもそう決めてかかっている。

そこがなんだか好きくなかった。

おそらく、主人公がそう決めてかかっていることを、「主人公は思い込みにて決めてかかっております!」と表現したほうがより良い作品になっていたとはおもう。。。

(が、、まあそれはわたしの趣味嗜好なのか。脱線する。上田岳弘さんが以前、チェシルさんの新作『play human』において、主観的描写が過ぎるというようなことを言っていた。一つの個人的立場から見た主観的現実は、ときに暴力的になりすぎる。だが、上田岳弘さんはこうもおっしゃってた。自分にはそうした作品は書けないので(上田さんの作品は多声性が強い)、主観過ぎる声をかけるのがチェシルさんの強みというか魅力でもある、というようなことを。

そ~だよね。

たしかに。

でもわたしは思うのだが、カミュの異邦人とか中村文則さんの銃みたいに、「一般的に見て悪者(犯罪者)」である人の主観を書くのと、「一般的に見てまあ善者(犯罪者ではない)」の主観を書くのとはぜんぜんちゃうよね。

「一般的に見てまあ善者」である主人公の主観的世界を書くとき、やはり、気配りがなんばいも必要なんやと思うわ。まあ性格上の問題もあるけどね。やっぱ正しさを追求したくなっちゃうところがあるから。正しさなんかないのに、でもなんか、アリストテレスのいう中庸、みたいなものをずっと追い求めちゃう。人間だからさ。。。。。)

 

ここから先は読まなくてよし

 

あと、個人的にすごく思ったこと

これはいちばん思っていたことであり、強く、強く、みんなに言いたい、、誰かに言いたいと思っていたことなんだけど、言いたくなくて…その…

絶対誰にも言わないでくれ。

 

 

 

『アキちゃん』……?

え?

うわああああああああ><!!!!!

 

ってなったことのある人、わたし以外にもいるかな。

 

最近さあ…、ここだけの話、わたしア〇ちゃんに恋してる…。女王蜂の…。

ああ…言ってしまった…。もう、こんなに人を好きになったことなくて、キュートのマイミーが好きだったときも、これほどではなかって。恋…。

で、〇で隠せば同じア〇ちゃんってもう…

小鹿さんみたいな肢体って描写もう…。

 

アキちゃん、ア〇ちゃんですかね?

三木三奈さん、どうなんでしょうか……。三木三奈さん……