感想

書評ブログです

三島由紀夫賞受賞きねん。古谷田奈月『橙子』

 

文学ムック たべるのがおそい vol.4

文学ムック たべるのがおそい vol.4

 

 

 

『無限の玄』で第31回三島由紀夫賞を受賞された古谷田奈月さん。

あー好き好き好き好きがとまらなっしんぐ。

そんな受賞記念の文章を書いておきます。長くなりそうでこわうぃ。

 

まずは、たべるのがおそいvol.4 古谷田奈月(こやたなつき)の短編『橙子』について…

 

あらすじ

高校の入学式を終え、父親と2人でバスを待つ主人公、橙子中学とのいちばんの違いは、橙子のベストフレンド花緒里がそばにいないことだ。花緒里は美人で、どこか主役級のオーラを持った子である。しかし、そんな魅力たっぷりの花緒里でも、同級生の矢俊(ちかとし)君に熱烈アプローチをして何度もふられ、やっと付き合ったものの交際1年でまたしてもふられてしまう。ちかとし君は、外見はかっこわるいけれど、豊かな想像力をもった優しい男子だ。なぜ、彼が彼女をふったのか、それを知った時、橙子は痛いほどの共感を覚えたのだった。――高校の入学式の帰りのバス停で、さまざまに思いをめぐらせながらバスを待つ橙子だが、そんなセンチメンタルもままならないほど、じつは、さっきからイライラさせられている。ムカつきの元凶は、一緒にバスを待っている、ちんちくりんパパである。橙子と同じくらいの背丈のこの親父は、見た目もさることながら中身も「かわいい」。16歳になろうとしている橙子は、このいじましいブリッコオヤジに嫌悪を覚えはじめている。親父は娘の内面で起きている精神殺傷事件に気づきもせず、かわいこぶりっこをしつづける。いまやバス停に並ぶ同級生たちも認めているカワイイパパを、自分だけは認められない、そんな自分の冷たさに自分で傷ついてしまう橙子だが…。

 

感想

「天才っていわれると、努力してないみたいで嫌や」って最初に言ったの誰ですか? パヤオ? パヤオなら許す。おれら観客。努力云々なんて頭にない。結果を礼讃するのみ。だからこっちもそんなつもりで言ってないってわかってほしい。「天才:きみのつくるものに対してわたしは最上級に感動したよ」ってニュアンス汲んで。タノム。

 

なーんて、でも、やっぱり、わかるよ。褒めるなら、もっとちゃんと、的確な言葉で伝えてほしいんだよね。んもー贅沢な。

 

で、古谷田奈月(さん)!天才。神。短編でこんなに泣かせるなんて。なんだろね、こういうの、においがするというのかな。苦しいほどの、喚起させられ体験。私、中学生の頃、周囲に対してね、橙子が父に抱く何かに似た何かを抱えていたよ。で、それは、けっして馬鹿にできない、ほんもののプライドのようなものだったのだと、『橙子』を読んで、過去を再編集したよ。ほら、ひとは思春期をゆびさして嘲笑う。揶揄や自虐のための造語も産まれてしまった。(まーいろいろあるよ、わらうことが、救いにもなるよわかる、)だけど、そのころの多感というのは、嘲笑すべきものではないんだよね。自分自身の心の動きに対して傷つくという経験を、みんな、経て、やっとこさ生きているんだと思うから。 

代表作かもしれん『リリース』

精子バンクテロ。二転三転するストーリーと、魅力的なキャラクターたち。むりのない、手にやさしく馴染むフェミニズムにほろっと心がほぐれる。

古谷田奈月の台詞回しはね、翻訳調とはまた違う、アメリカ映画字幕節っていうかな、たまんねーのさ。外国映画ファンには脳内映像再生不可避よ。なんか、読んでて、ブロードウェイ。身体揺れちゃうもん。

まあとにかく、おもしろいから読め(キモオタスマイル)

(キモオタスマイル)←使い方あってるかわからないし、村田紗耶香の小説にでてくる迎合マンみたいで嫌やけど、でも、なんか好きで、おもちゃみたいに、遣ってしまうなぁ。だからあかんねん、わたしわ。。

 

リリース

リリース

 

 

 

『無限の玄』

メンバーは肉親のみ!のストリングバンド「百弦」をいとなむ男だけの家族の話。死んだ父が何度もよみがえるらしいのだが、新潮で途中までしか読まれへんかってん。早稲田文学の増刊号に掲載してたんやけど、買ってないの。。それに、「文芸誌で読んじゃったら単行本のほうを買わないあるある=著者は原稿料だけになっちゃう…応援にならねぇ……」なので、単行本でたらソッコー買ってレビューします。とりあえず、インタビューに答えた著者古谷田奈月によれば、最初の夜、リビングに降りたところで世界が変わるらしーんだけど、マッジッで!!!!じかんがゆっくりになったマジック。言葉って魔法だったね。

好きです。

 

第31回三島由紀夫賞候補作は、服部文祥『息子と狩猟に』古川真人『四時過ぎの船』高橋弘希『日曜日の人々(サンデーピープル)』飴屋法水『彼の娘』古谷田奈月『無限の玄』です。受賞者インタビューのほか、辻原登、髙村薫、川上弘美町田康平野啓一郎による選評も読めます。 

新潮 2018年 07 月号

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